耳鼻咽喉科では聞く、話すという日常生活のコミュニケーションには欠かせない聴覚、音声言語機能を扱っています。
当講座では急性感音難聴、遺伝性難聴の研究と中耳疾患、頭頸部腫瘍の外科治療に力を入れており、幅広い耳鼻咽喉科疾患に対応できる臨床医の育成を目指しています。
■ 出身(大学・都道府県)/京都大学・東京都
■ 専門分野/耳科学、側頭骨病理、臨床聴覚医学
■ 得意分野/鼓室形成術、アブミ骨手術、人工内耳などの耳科手術
■ 経歴/京都大学大学院医学研究科、京都大学耳鼻咽喉科助手、米国ピッツバーグ大学留学、近畿大学耳鼻咽喉科助教授、岩手医科大学耳鼻咽喉科助教授を経て2003年より教授
■ 専門資格等/日本気管食道科学会認定医認定(1988年11月)、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医(1990年4月)、補聴器適合判定医認定(2002年7月)、日本がん治療認定医機構暫定教育医認定(2007年8月)
私は2011年7月に盛岡にやってきました。私はこれまで頭頸部外科、頭頸部腫瘍専門に研究・診療・教育を行ってきました。先日も北東北3県、青森、秋田、岩手が男性の死亡率ワーストナンバー3という報道がありました。癌ばかりではないと思いますが、今後も岩手医科大学の診療圏ばかりではなく、北東北全体の頭頸部癌治療の底上げを図って行きたいと考えております。
「頭頸部」と呼ばれる領域は、耳・鼻腔・副鼻腔・口腔・咽頭・喉頭・頸部食道・頸部といった広範囲な部位を含んでおり、この部位の主に外科治療を担当するのが「頭頸部外科」です。炎症や外傷などもありますが、頭頸部外科の扱う疾患の多くは、これらの部位から発生する頭頸部腫瘍(頭頸部癌)になります。頭頸部は咀嚼・嚥下・呼吸・発声・構音という人間の生命維持にとって非常に重要かつ必須の機能を持っており、また聴覚・嗅覚・味覚などの重要かつ多岐にわたる機能を担っています。そのため、その治療にあたっては、これらの機能の温存、治療後の患者様のQOL(quality of life 生活の質)を十分に考慮する必要があります。
頭頸部癌は手術治療が中心ですが、臓器・機能の温存のために化学療法や放射線治療を組み合わせて集学的な治療を進めて行きます。これまでの我々の治療実績から上顎癌では超選択的動注化学療法が、聴器癌では化学放射線治療が有効であるというエビデンスを得ています。また、口腔癌では手術治療が第一選択であり、下咽頭癌では喉頭温存を図る化学放射線治療や下咽頭部分切除を行い、進行癌でも手術と化学放射線治療を組み合わせることで治療成績が向上しています。中咽頭癌ではヒトパピローマウイルスの関与が認められる症例が増加しているというエビデンスを基に、臓器温存を図る方向で治療を進めています。進行癌の手術で欠損部が大きくなる場合は、術後の機能の改善を目的に形成外科・外科と合同で再建手術を行っています。また、逆に中下咽頭の表在癌などでは消化器内科と協同で内視鏡手術を行っています。
頭頸部癌は喫煙・飲酒というリスク・ファクターがあり、特にタバコは喉頭癌、アルコールは中・下咽頭癌と関連が深いとされています。アルコール発癌については上気道・上部消化管の発癌に関する研究班に所属し、現在コホート研究が進行中です。今後市民講座やこのホームページなどを利用して、頭頸部癌の診断や治療、喫煙・飲酒のリスクなどについて情報を公開していく予定です。
当講座は現在の財団法人岩手医科大学の前身である岩手医学専門学校(1928年3月設立)に、金野 巌先生が初代教授として1929年10月に開講しております。その後1951年には母体組織である岩手医科大学は学校法人として組織変更がなされました。1954年には第55回日本耳鼻咽喉科学会総会で宿題報告である「髄膜・髄液の問題」を金野
巌教授が報告しております。
1958年10月に檜學先生が教授に就任され、翌年には第60回日本耳鼻咽喉科学会総会で宿題報告「メニエール氏症候群をめぐる諸問題 2)前庭機能検査と治療」を報告しております。
1966年3月に立木孝先生が教授に就任されました。1974年10月には第19回日本オージオロジー学会を主催、1975年9月には第20回日本音声言語医学会を主催、1976年には日本耳鼻咽喉科学会の宿題報告「感音難聴 特にその成因」を報告しております。また、1978年9月には第6回日本臨床耳科学会を主催、1992年8-9月には21st
International Congress of Audiologyyを主催しております。
1996年4月に村井和夫先生が教授に就任され、同年の5月には第6回日韓耳鼻咽喉科頭頸部外科学会を主催、2001年10月には第46回日本聴覚医学会を主催しております。
2003年4月に佐藤宏昭先生が主任教授に就任され、現在に至っております。
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